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虎鉄の日記:ある夏の終りの夢


気付けば銀雨を始めてから一年と少しが経っていました。
たくさんの人たちと出会えました。
たくさんの楽しいことがありました。
全部、この子達のおかげでした。

そんな感じで一周年記念なお話。
さりげなく別キャラとか公開してみたり。
一人実子じゃないのもいますが、養子も我が子にゃ変わりない~。

それでは、ありえない日のありえない邂逅の記録。
はじまりはじまり~。


「……私ゃなにやってるんでしょう?」
 ある朝鳳凰堂・虎鉄が目を覚ますと、自分の頭が部屋に山積みにされているガラクタに埋もれているのに気がついた。ってゆーか埋まっていた。それはもう埋まっていた。
 とりあえず山から這い出して、腕を組む。
 はて、本当にどうしてこんな事をしてたんだろう?
 昨夜の記憶を掘り返してみるが、別に酒を飲んだとか非合法な薬に手を出した覚えは無い。ひょっとしたら記憶が無くなるくらいのツッコミを受けたのだろうか、とかも考えてみたが、どうやらそういう訳でもないらしい。体痛くないもんね。
 しかし、そうなるとなんでまた?
 珍妙奇態は自分の代名詞ではあるけれど――そんな風に呼ばれてしまう事をやっているのだという自覚くらいはさすがにあった――いくらなんでも自室で、一人きりでこんなオモシロアクションに興じる趣味は無い。つまりウケが取れるならやるかも知れないのか、というツッコミはできるだけ控えて欲しい。だって実際やりそうだもん。
「おや?」
 ふと、思索を中断して自分のポケットに手をやる。
 いつも着ているコートには、覚えのない膨らみがあった。
 一応――半ば習性と化している――警戒しながら取り出してみる。
 それは、見た事の無い宝箱だった。
「なんでしょーね、これ」
 こんな物を拾ってきた記憶は無い。
 首を傾げながらためつすがめつしてみると、どうやら鍵はかかっていないようだった。
 こういう時、本来の鳳凰堂・虎鉄ならば開けない事を選択する。
 まず爆発物、或いは盗聴器や発信機が仕込まれている可能性を検証して、安全を確認した上でしか開けようとは思わない。思わないのだが……何故だろう、自分にはそれが危険な物だとは、どうしても感じられないのである。
 カチャリ――
 微かな金属音。
 気づいた時には、自分の手が宝箱を開けていた。
 吸い込まれるように中を見る。
 そこには、一枚の写真が収められていた。
 それだけしか、収められていなかった。
「これは……」
 真新しい写真。
 そこに写っているのは、金髪の少年、黒髪の少女、そして――


「私?」
 覚えが無い。
 金髪の少年の方はともかく、こんな少女は知らない。
 こんな写真など撮った記憶はない。
 それなのに。
 
(あぅ! きねんしゃしんとろうよ! きねんきねん!)
(げ……嫌ですよ! あっ、は、放して下さい師匠!!)
(はっはっは、照れ屋さんですねぇー。ささ、今のうちに~)

 どうしてこんなに、あたたかいものが。

(それじゃーとるよ! あぅ! いちたすいち――の答えをフェルマーの最終定理に代入した解から僕の誕生日の月と日を合計した解を引いた数は!)
(え!? えぇっと……えっと、2を代入して……)
(ふふふ、こーゆー時の答えは「に(2)ー♪」と相場が決まっているもんですよ~?)
(こたえはねー……僕もしらない☆!)
((ちょっ!))

 胸の中に溢れているのか。
 その答えを、虎鉄は見つける事ができなかった。
 写真を再び宝箱にしまうと、ゆっくりと蓋を閉じる。
 答えのないあたたかな気持ち。
 覚えのない写真。
 知らない記憶。
 その全部を閉じ込めた小さな箱を、虎鉄は大事そうにしまいこんだ。

 窓の外には青い空。
 雲を運ぶ九月の風が、夏の終りを告げている。
 さぁ、部屋を出よう。
 今日はなんだか気分がいい。
 体も少し軽やかで、挨拶はきっといつも以上に陽気だろう。
 それぐらいは、まぁいいさ。
 笑われるのはお手の物。
 ドアを開けて、廊下を抜けて。
 
――今日も皆に会いに行こう。

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神無月

Author:神無月
神無月(かんなづき)と申します。

主に株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のブログとしてなんか色々とまったりペースで徒然事が書かれています。
いぇー。

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