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決戦前夜


――土蜘蛛との決戦を控えた前夜、寮の一室に彼らはいた。



 室内灯の柔らかな光に照らし出された影は五つ。
 いずれも歳若い少年少女達だった。
 その中でも飛びぬけて長身の少年が、他の四人を見回した。
「もう判っているとは思いますが、今回の戦いはかつて無いほどに危険なものになるでしょう」
 一人一人に語りかけるように、或いは自身に言い聞かせるように紡がれた少年の声は小さい。
 だが、そこにいる誰もがその言葉を聞き漏らすことなく、無言で耳を傾けている。 
「傷を負う事は避けられず――最悪、命を落とす事もあるでしょう」 
 今までの戦いとて、命の危険は常にあった。
 そんな戦いを幾度と無く乗り越えて、彼らは今ここにいるのだ。
 それを考えれば、少年の言葉は今更の事とも言えるものだった。
……けれど、今度ばかりは話が違う。
 
 彼らは明日、戦争に行くのだ。 

 見知らぬ誰かを守るために。
 見知った誰かを守るために。 
 自分が、仲間が死んでしまうかもしれない。
 それを知りながら、それでも少年達は――戦争に行く。
 少年は俯き、ほんの少しだけの逡巡の後、口を開いた。
「私は奴らを許せない、だから征きます。最悪の事態になっても後悔はしないでしょう。ですが、皆さんが死んでしまうのは………怖い。ですから、無理はしないで下さい。死を恐れるのは恥ではありません。私は一人で大丈夫です。だから……」
「虎鉄先輩」
 堰を切ったように語る少年を、静かな声が制した。
 赤茶色の髪の少年が、長身の少年を見据えていた。
 ただ、その瞳は決して冷たいものではなく――
「大丈夫だ。俺たちは絶対に死なない」
 長身の少年はハッと顔を上げて、再び他の四人を見回した。
 そして、気付く。
 仲間達の瞳には、恐怖など写ってはいない。
 仲間達は、信じていた。
 この皆で戦うのなら――絶対に死んだりしない、と。
 仲間を、信じていた。
 そう、ならば何を恐れる必要があるだろう。
 彼は、彼女は、一人ではないのだから。
「らしくないですよ、鳳凰堂さん」
 紅茶色の髪をポニーテイルに括った少女が微笑んだ。
「しっかり……です」
 夜色の髪の少年が、小さな声で励ました。
「ぜったい大丈夫、ですわ」
 銀色の髪に赤いリボンを揺らす少女が笑った。
「そういうことだから、安心してくれ」
 最後に、赤茶色の髪の少年が優しげな瞳で言った。
「………」
 長身の少年は俯き、少し恥じた。
 一瞬でも彼らを信じ切れなかった自分を恥じて、思った。
 仲間達は強い。
 お互いを信じる事ができるから、強い。
 きっと、自分の何倍も。
 だから
「そうですね……絶対に、大丈夫だ」
 心から、信じる事ができる。
 少年は顔を上げた。
 その瞳には、最早恐れなど一欠片も無く。
 ただ、仲間と同じ光だけを宿していた。 
「いやぁ、私らしくなかったですねぇ~! さーて、そうと決まればちゃっちゃと征って、あの蜘蛛さん達をボッコボコにとっちめてやるとしましょうか!!」
 ニヤリと不敵に笑い、少年は拳を握る。
 その言葉に応えるように、仲間達も笑みを浮かべた。



――かくして夜は更け、戦争の朝が来る。
 願わくば、その笑顔が一つたりとも欠ける事の無いように―――


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死なせるもんか

もう2度とそんな弱気なセリフは言わないでくれよ?

誰も、死なせやしない。
俺も死ぬわけには行かない身なんだ。
全員無事に事を終えて生還する為に俺と柳がいるんだ。

俺は、みんなが善戦してくれることを信じているから。
だから、俺の言う事も信じてくれ。

さぁ、戦いまでもう少し。しっかり準備していこうぜ。

多くは語らん
前を見て戦う
虎鉄、お前も前見て戦え
そうすれば…お互いの背中を守って戦える

さぁ、ゆくぞ。戦場へ

戦うのは…

戦うのは、俺たちの『明日』を護る為。

護り手たる俺たちが欠ければそこから破綻が始まる。
戦友を信じ、自分を信じ、自分たちの望む未来を信じて行動しよう。
そうすれば、結果はおのずと付いて来る。

いざ往かん、戦場へ。
貴君の無事を祈る。

浅葱達は死にません・・・。
まだやるべき事がありますからね・・・。
全力で皆さんを治療です・・・。

大丈夫、ですよ。

突撃の前。
屋敷から少し離れた待機場所で、
こっそり、書いてます。

今回、作戦をみんなで話し合っていて。
私は不謹慎ですが、凄く感動していました。

あれだけの人と、何時間もずっと話して。
みんなで練りに練って、今回に臨めました。
凄く、達成感がありました。
今でもまだ、始まってませんが…(汗)

そのせいか、怖さは余りありません。

みんなの力と、みんなが信じてくれる私の力と。
それに、みんなの知恵をありったけ乗せているのですから。

負ける訳がない!

…と、思ってます(苦笑)

と、そろそろみたいです。
行ってきます。

また、寮で…。(微笑)

#長文、御免なさい。

引き続き

追撃戦ですよ、先輩。

…。私は自分の未熟を恥じます。
この状況に、血潮がたぎってしまうのですから。
(比留間は攻撃的な笑みを浮かべた)
プロフィール

神無月

Author:神無月
神無月(かんなづき)と申します。

主に株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のブログとしてなんか色々とまったりペースで徒然事が書かれています。
いぇー。

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