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虎鉄騙り:幕間寸劇と正義の味方

背後弁解中

「ちゃうねん。
 本当は四回連続で虎鉄の過去話をやるつもりやってん。
 せやけどなー、やりたい事ができてん。
 ネタは鮮度がいのちなんやー、って誰か言っててん。
 ほんまやで? ほんまやねんで?
 あっ、せやからちゃうねん! やめて! どこつれてくん?!
 あー………………」

背後断罪中

「が―――は」
 ドサリ、と重い音を立てて長身が地に沈んだ。
 全身を余すところ無く血に染めて石畳に倒れ込んだのは、まだ歳若い少年だった。
「な、なんなんだ………」
 生きているのが不思議なほどの重傷を負いながら、少年は果敢にも顔を上げた。
 もっとも実際には、ほんの少しばかり顔を動かした程度のものだったが。
 それでも動かぬ体に鞭を打ち、懸命に拳を握り締め、持ちうる限りの敵意を視線に込めて、
「お前らは――なんなんだ!」
 自分を見下ろす影へと叫んだ。
 倒れ伏す少年を見下ろす影は、異形であった。
 蜘蛛と人を足したような、在り得ざる姿。
 狂った神が戯れに創りあげたとしか思えない、おぞましきその体躯。
 明らかに人間には存在しない器官を持ちながら、それは同時に、あまりにも人間的だった。
 ソレを一言で言い表すとすれば、それは≪怪人≫であった。
≪怪人≫はその一体だけではなかった。
 少年を見下ろす者の背後――色とりどりの花が咲き乱れる庭園に同じように傷つき、縛り上げられた少年や少女が縛り上げられている――その周りにも、いくつもの異形の影が立っていた。
 蝙蝠の翼と爪を持つもの。
 蛇の顔と牙を持つもの。
 蟹に酷似した鋏と甲殻を持つもの。
 どれもがあまりに人間ではなく、それでいて人間だった。
 悪夢から抜け出してきたかのような光景は、しかしそれだけならば少年にとって驚くには値しないものだった。ここにいる少年少女は、日常的にそのような化物と闘い続ける者達であるからだ。
 そう、その形状など瑣末でしかない。
 問題があったとすれば、それは
「なぜ、能力が通じないんだ!」
 少年の剣も、影を操る力も、銃弾も、その≪怪人≫達を傷つけることはできなかったのだ。
 その理不尽を、少年は叫んだ。
 少年は知らない。
 彼の異形の軍勢こそ、世界を覆う結界の外側より来たりし者共。
 異なる法則。
 異なる概念。
 異なる世界によって生み出された存在を、「この世界の能力」で傷つける事など不可能なのだ。
 夕陽の紅に霞む視界の中で、異形の影が嗤う。
 少年の無知を、少年の無力を嘲笑う。
 そうして、屈辱と悔恨に染まる少年の顔面を、鋭い爪の生えた足で踏みつけようと――
「もうやめてくださいっ!」
 悲痛な叫びは、縛り上げられた少女の発したものだった。
 銀色の長い髪を振り乱して、花の蕾のような少女が泣いていた。
「もうやめて、やめてください……っ」
 蜘蛛の足を頭から生やした≪怪人≫がゆっくりと振り返る。
 そうして、数秒の間泣き崩れる少女を観察するように眺めて、
――ゲラゲラと嗤いながら、少年の頭を容赦なく蹴りつけた。
 鮮やかな赤色が、石畳に新しい汚れを作った。
 鋭利な爪で頭部を引き裂かれた少年は、今度こそ動かなくなった。
「………っ!」
 最早声も無く、ガクリとくずおれる少女。
 異形の影達はそれを見て、より一層穢れた笑いを深くするのだった。
「ひどい……どうして、こんな………」 
 誰かが力無く呟いた。
 その声に、蜘蛛の頭を持つ≪怪人≫は高らかに告げた。
 血のように朱い空に、唄うように。
「無論、我ラガ野望ノタメニ!」
 焼け落ちる空を呪うように。
 両手を大きく広げた蜘蛛頭の≪怪人≫に唱和するように、他の異形達が続く。
「我ラガ野望ノ成就ノタメニ!」
 異形の拳を突き上げて、
 異形の声を張り上げて、
 穢れた喜びで空を塗り潰さんとするかのように、
「我ラガ野望――世界征服ノ成就ノタメニ!!」
 うおおおおん、と≪怪人≫達が吼えた。
 そこへ、
「そこまでだ、悪党」
 一陣の風が吹いた。
≪怪人≫達の目が、一斉に同じ場所へと向けられる。
 無残に打ち壊されたテラス――その遥か上。
 屋根の上に、少年が一人立っていた。
 夕陽を背負って立つ少年の手の中には、一枚のカード。
 それを見た≪怪人≫達は、揃ってその顔に嘲笑を浮かべた。
 新たに現れた人間の持つカードには見覚えがあった。
 そう、たった今地に倒れた若い人間も、あのカードから「能力」を引き出して向かってきたのだ。
 そしてその「能力」とやらは、自分達には通じなかった。
 故に、彼らは最早理性の形を喪失した狂った思考で判断した。
――恐ルルニ足ラズ、と。
 だがその次の行動に、誰もが言葉を失った。
 少年は、カードを投げ捨てたのだ。
 その代わりに、カードを握っていた手にはある物が握られていた。
 ベルト、であった。
 異形の相貌が、不可解の感情に歪んだ。
 少年は遥かな眼下にそんな≪怪人≫達を見据えて、ベルトを腰に巻いた。
「この力は――このみにくい姿は、皆には見せたくなかったんだがな」
 その囁きは、皆に聞こえただろうか。
 皆は、俺を受け入れてくれるだろうか。
 一瞬の戸惑い。
 刹那の迷い。
 それらを振り切るように、少年は、拳を握った。
 左手の拳を腰溜めに構えて、ツルギのように構えた右手で空を斬る。
 決意を剣に。
 覚悟を盾に。
 想いを胸に。
 正義を――力に!

 「変身ッ!」

 閃光。
 落日よりも赤い光が爆発した。
 轟音。
 爆風。
 衝撃。
 吹き荒れる風が、砂埃を巻き上げて視界を潰した。
 鳴動する大気が、世界から全ての音を奪い去った。
 それでも、誰一人目を離さなかった。
 ただただ、空を見上げていた。
 風が、吹く。
 視界を奪っていた砂埃が払われ、静けさを取り戻した世界の果て。
 真っ赤に燃える太陽を背に受けて、異形の影が、立っていた。
「ナ……ナンダ………」
 蜘蛛頭の≪怪人≫が、震えた声をあげた。
 否、震えているのは声だけではなかった。
 異形の体が、ブルブルと震えていた。
 まるで、恐怖しているかのように。
 その姿を、恐れているかのように。
「ナンダ、貴様ハナンダ………ッ!」
 その事実に、誰よりも戸惑ったのは≪怪人≫自身だった。
 何故だ。
 何故、この体は震えているのだ。
 何故、自分は奴を恐れているのだ。
 何故、初めて見るはずのあの姿を、知っている、と感じるのだ!
 何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故ッ!
「ナンナノダ貴様ハァァァァァァッッ!」
 答えるまでも無い。
 そこにいる全員が、知っていた。
 その存在を。
 弱きを助け、強きを挫く存在を。
 善を勧め、悪を懲らす存在を。
 理不尽を打ち倒す、それ以上の荒唐無稽の存在を。
 そう、それを人は。
「俺は――」



      ヒーロー
―――正義の味方、と呼ぶのではなかったか。




「………と、ゆ~よーな事もあるかもですよぉ?」
「ふわ……すごいですね」
 のへ~ん、と大きな法螺貝を吹く虎鉄と、真剣な表情でこくこく頷く銀髪の可憐な少女。
 某日、結社『寮つき手芸部』の柳・浅葱さんの自室での一幕であった。

ギャフン

 
スペシャルなありがとう
>天野・夏優さん――ライダー役
>月宮・ヒカルさん――銀髪の少女役
(尚、最初にやられた少年役=ぴ虎鉄)
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ヤッチマッタ

ついカッとなって書きました。
反省はしていません――あ、ごめんなさいごめんなさい!
ライダーは格好良いと思うのです。
私の中の最初のヒーローは、スーパーマンでも悟空でもなくライダーです。
しかも初代。

ちなみに今回のライダーデザインはまったくのオリジナル。
初代をイメージしましたが細部がまったくの別物なので――よろぴこ☆

あ、天野さん…



かっこいいです!!

うわーうわー、ヒーローです。
(想像中)
尊敬しちゃいます(////)


背後:

この度は鳳凰堂さんの物語に参加させていただきありがとう御座いましたm(_ _)m

……いやはや…いつも拝見していて思うのですが、鳳凰堂さんが書く文章はキャラクターの躍動感溢れる動きが想像しやすいです。
いつ読んでも感銘を受けます。
これからもこの調子で書いていただきたいです(^_^)

……ん??

「…ん??」
夏優は月宮ヒカルと鳳凰堂虎鉄から少し離れていたので良く聞こえなかったらしい。
ただ、なんだかそれが悪い気はしなかったので割ってはいるのはやめようと思った。


夏優の背後の発言:
おぉー、ヒーローだ!しかも仮面ライダー!!
俺の中で、ヒーローと言えばウルトラセブンか仮面ライダー(初代)!
初代ライダーをイメージしつつもオリジナルとして描いた虎鉄の背後さんには、
もう、なんと言って良いかわからないくらい感激してます。
ウチの夏優を【ヒーロー】にしてくれてありがとう!!(感謝感激)

この後は、死んでしまった虎鉄が新たなヒーロー(光の巨人)になるんですよね?!(待て)

コメントありがとうございますですー

>月宮・ヒカルさん
んっふっふ~、そうですよぉ?
ヒーローは風と共にやって来て、嵐のように闘って、朝日と共に帰ってくるんですよぉ?
>その背後さん
ヒロイン役、お疲れ様でした~。
文章を褒められたのは……初めてかも知れません。嬉しいです!
毎回毎回グッダグダで申し訳ないことこの上ないですが、楽しんで頂けたのなら、本当に幸いです。

>夏優の背後さん
そうですよねー! ライダーは初代ですよねー!
最近の……ギリでもRX以降のライダーはどうにも邪道のような気が………
仮面はほとんどそのままだったのですが、イジったのは装甲ですね。
だいぶメカっぽくしてみました。装甲と言うよりボディースーツ型。
その上にコートとかいうデザインが大好きだったので、楽しく描かせて頂きました!
描かせてくれて、本当に有難うございました!!

ひょっこりとw

結構雰囲気たっぷりの文を書くから楽しみにしていますよ(笑)
お互いマイペースで……で……。
……えー、あー、こちらも負けずに頑張る事にします(笑)
プロフィール

神無月

Author:神無月
神無月(かんなづき)と申します。

主に株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のブログとしてなんか色々とまったりペースで徒然事が書かれています。
いぇー。

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