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虎鉄の日記:破り取られたページ


――それは、クリスマスも近いとある夜のこと。

私が自室で日記を綴っていると、天井の方から物音がしました。
顔を上げてみれば天井の一部がパカリと外れ、そこから柳・浅葱さんが降りてきました。
………この部屋、あーゆうことが出来ないようになってるはずなんですけどねぇ。


「夜分に……失礼します………」
 シュタッ、と体操選手のような着地をきめて、浅葱さんはこちらに振り向いた。
 うーん、とても礼儀正しいご挨拶なんですが、天井裏から入ってきてる時点で礼儀とか作法とか台無しな気がするのは私だけでしょうか。まぁ、私も他人の事はいえませんが。
「いえいえ~、浅葱さんのご訪問なら何時でも大歓迎ですよぉ~」
 ガラクタの山から椅子を一脚引っ張り出して勧めてみる。
「そう言ってもらえると……うれしいです」
 ちょこん、と椅子に腰掛ける浅葱さん。
………はて?
 身長差のせいという訳でもないでしょうが、どうにも今日の浅葱さんは小さく見えますねぇ。 
 ああ、そういえば私の部屋を浅葱さんが訪ねてきたのはこれが初めてだったはず。
 となると、初めての部屋に緊張しているせいだったりするんでしょうか。
 まぁ、私の気のせいという事にしておいて、とりあえず用件だけでも伺っておきましょうかねぇ。
「それで、今日は一体どうしたんですか?」
 私の問いかけに、浅葱さんは言葉を探すように視線を泳がせる。
 はて、そんなに言いにくい用件なんでしょうか。
 首を傾げるこちらを尻目に、浅葱さんはそのまま数秒ほど答えに迷った後、おずおずと、と形容したくなるような口調で切り出しました。
「実は……先日の、談話室での一件についてなんですが……」
「ああ、その事ですか」
 成る程、そりゃあ躊躇う訳ですねぇ。
 思い出すのは数日前の夜、『寮つき手芸部』の談話室での一幕。
 そもそもは私とウルさんが「浅葱さんは女の子みたいでかわいい」という話題で盛り上がったのが発端でしたか。話しているうちにウルさんがどこからかメイド服を取り出して……ああ、そうそう、それを浅葱さんがしっかりと着こなしちゃったんでしたねぇ。
「可愛かったですよねぇ~」
「や、やめてください……っ」
 真っ赤になってパタパタと手を顔の前で交差させる浅葱さん。
 うーん。
 自覚無しって事は、この人も天然ですか。
「と、とにかく……話というのは、それです」
 コホン、と小さく咳払いをして浅葱さんは続ける。
「可愛いと言ってもらえたのは嬉しかったんですが………やっぱり、恥かしいものは恥かしいので……あのことは、他言無用としてもらえないですか?」
「なるほど~、浅葱さんのお気持ちはよく判りました………」
「そ、そうですか………っ」
 ホッ、と胸を撫で下ろす浅葱さん。
 どうやら本当に安心しているらしいですねぇ。
 うーん、胸が痛むなぁ。
「……でも、無理です」
「へ?」
 一瞬何を言われたのか理解できなかったのだろう、きょとんとした表情で固まる浅葱さん。
「あの、今………なんて?」
「ですから無理なんですよねぇ~。だって………

――もう日記に書いちゃいましたもん、写真つきで」

「は………」
 あ、凍った。
 どうやら日記に書かれたことがそれほどショックだったようですねぇ。 
 うーん、けど、そんなに恥かしがる事もないと思うんですけどねぇ。
 実際可愛かった訳ですし。
 一度自分でも見てみれば、浅葱さんにも判ると思うんですが………
「あ、そうだ。折角ですからご覧になります~?」
 日記から写真を取り出して、浅葱さんに見せてみる。
  
 あ、揺れた。
 彫像のように停止したままだった浅葱さんが停止したままの姿でガタガタブルブルと震え出す。
「おや、地震ですかねぇ~?」
 と部屋の中を見回してみても、不思議な事に他の物は一切微動だにしていないようでした。
 おかしな事もあるもんだなぁ、と視線を浅葱さんへと戻して………
 ゆらぁり、と立ち上がった浅葱さんと目が合いました。
「え~っと……浅葱さん?」
 浅葱さんは答えません。
 ただ、あくまでも緩慢な動作で背中に回された右手が掲げられた時、そこにはなにやら禍々しいトゲバットが握られていました。ってゆーか、どっから出しましたかソレ。
「浅葱さーん、聞こえてますかぁ~? あのー、さ~すがにそんな物で殴られたら~、私死んじゃいますよぉ~?」
 やっほー、と呼びかけてみる。
 お、反応あり。
 浅葱さんが顔を上げる。
――凶器を握った右手を振り上げて。
 俯いていたせいで影になっていたその表情は。
――力の限り。

「記憶を………失くしてください」

 ふぉん。 
 ぐしゃ。
「ひデブッ!!」 


――後日談。
 翌朝、虎鉄が目を覚ましてみると、机の上に自分の日記帳が置かれている事に気が付いた。それを見て、違和感に首を傾げる。
 はて、昨日は日記を書いただろうか?
 よくよく見てみると、日記は一日分のページが破り取られているようだった。
 虎鉄はますます首を傾げ、結局答えが出なかったので、静かに日記帳を閉じた。 


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スンバラシィィィィイイイイ!

GOD JOB!!!
素晴らしい…、素晴らしいですよ鳳凰堂の背後の旦那ァ!

予告:今度、女装少年二人のピンナップも発注予定なんでお楽しみに…。
    相方は本人がぶっちゃけるか、イラスト完成まで秘密ですw

可愛い物は持ち帰ってはいけません……ですか??(即拉致??

何処から出したかは企業秘密だ…。(苦笑
まぁ、その絵の完成度にはただ感銘するばかりだがな(目の保養じゃ~
……浅葱って本気で違和感無いぞ……ヤヴァイな…「ba」じゃなくて「va」の方だ!!
撲殺メイド浅葱ちゃんか……どこかにあるかも~。(インスパイア~
んじゃあ、これからも頑張ってくれ!!(びしっ
プロフィール

神無月

Author:神無月
神無月(かんなづき)と申します。

主に株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のブログとしてなんか色々とまったりペースで徒然事が書かれています。
いぇー。

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