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虎鉄の日記:ある冬の日の出来事

×月△日(怪獣がおー)

 そろそろ今年も終わりですねぇ。
 さすがに年末も近いとあって最近は寒い日が続きます。
 私なんかはコートを着込んでいますが、それでも朝夕の寒さは堪えるものがありますよ。
………そういえば、他の方々はどうやってこの寒さを凌いでいるのでしょうか?

 ちょっと教えてもらいに行きましょうかねぇ~。


「――とまぁ、そういう訳でして~」
 ゴーストタウン・アザレア国際交流センターB棟のとある一部屋で、同行をお願いした狢・蓮さんに私はそう切り出しました。
「寒さ、か……」
「えぇ~そうなんですよぉ~。私、こーう見えてけっこう寒がりなんでぇ」
 蓮さんはボロボロに朽ち果てた壁に体を預けて、ふむ、と腕を組んでいます。
 この人が冬の寒さをどうやってやり過ごしているのかは、結構興味を引かれますねぇ。
 なにせこの人いっつも制服の前を開けてますし、あとはシャツ一枚しか着ていないんですから。
 蓮さんは少し考え込むように目を瞑ってから、片目だけを開けて言いました。
    
「昔から言うだろう――神倒滅却すれば火もまた涼し、と」
「いや、そりゃあ神様倒せば寒さもクソもないでしょうけど………」
 ってゆーか世界滅びませんか、それ?
 凄いこと言うなこの人。
「まぁ、そうは言っても実際問題として、寒いものは寒いでしょう?」
「気合の問題だ」
 即答でした。
 それも、ごくごく当たり前のことのように言い切りましたよ。
 さすがは絶技クラブ団長にして不撓不屈の直球戦士の異名を取る男! 半端じゃないぜ!
 まぁ、そう呼んでるのは私だけですが。
「いやぁ、でも、その格好じゃあ雪とか降ってきたらお腹冷えますよ?」
「気合の問題だ」
「いや、さすがにそーゆーもんでも………」
「気合の問題だ」
「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ」
「合わせてぴょこぴょこむぴょこぴょこぴょこ」
「エターナルフォースブリザード」
「敵は死ぬ」
「ぬるぽいんたー」
「ガッ」
「べ、べつにアンタのためにやってあげてるんじゃないんだからね!」
「勘違いしないでよね!」
「………………」
「………………」
「行きましょうか」
「そうだな」
 よっこいしょ、と立ち上がる。
 とりあえずその日は二人でB棟を征圧しました。


――で、翌日の朝。

 木枯らしの吹くよく晴れた空の下を、ノロノロと結社『絶技クラブ』の道場へと向かう。
 いつもより少し早起きして寮を出たのは、この時間ならあの人に会えるだろうと思っての事でした。
 道場に着くと、案の定、裏手の森の中から人の気配を感じます。
 道場を迂回する形でそちらへと足を向け、声をかけました。
「おーはようございます~、今日も精がでますねぇ~」
「おはようございます鳳凰堂先輩」
 折鶴みたいな折り目正しさで挨拶を返してきたのは、我らが絶技クラブの良心にして風紀委員長、鋼鉄の戦乙女こと恋する鉄鋼弾(笑)、比留間イドさんその人でした。
「今日は早いですね。どうかしましたか?」
「えぇ~、じーつはですねぇ~……」
 と、早速話題を切り出そうとして絶句する。
 それというのも、こちらに背を向けたイドさんの姿が、タンクトップにジャージの下と思われる長ズボンを履いただけという極めて季節外れな薄着だったからでした。
「鳳凰堂先輩? 何か?」
 くりん、とリスみたいに首を傾げるイドさん。
「あ、いえいえ~。お気になさらず鍛錬を続けてくださいねぇ~?」
 そうですか、と鍛錬に戻るイドさんを呆然と見続ける。
 さすがに運動中だからってその薄着はどうなのさ、なんてツッコミはできようはずもないのです。
 イドさんは腰を落とすと、虚空に向けて固く握り締めた右拳を突き出しました。
 続いて左、すかさず右、また左と、リズムよく繰り返していきます。
 低く抑えた呼気と共に拳が唸り、その度に躍動する筋肉の流れが見えてくるような、一種美しささえ感じる動きの流れ。いや、それはたしかに美しい眺めでした。
 運動によって上気した肌は今にも咲き誇らんとする花のように艶やかで、朝日をうけた汗が夜の星のようにキラキラと輝いて――
「は?」
 え? 汗って――え?
 いや、そりゃあ冬とはいえ体動かしてりゃ汗くらいかきますが、その汗の量はおかしくないですか?
 この人、いったいどんだけ運動してるんですか。
――とは勿論声には出さないけれど。
 絶句したままイドさんの動きを見守り続ける。
 私の見ている前で、拳の連続はますます速度を増していきます。
 体が温まってきたのか、どうやらギアがまた一つ上がったようでした。
 早朝の静寂が満ちた森に、空気が切り裂かれる音が連続する。
 しなやかに回転する全身の流れは最早見蕩れるほどに洗練されていて、飛散する汗は煌めきでその動きを彩り、そして――シュン、と軽い音を立てて蒸発した。
「( ;゚Д゚)!?」  
 いや、いやいやいや!
 いくらなんでもそれ! おか! しい!
 しかし、驚愕するこちらなどおかまいなしにイドさんの動きは止まらない。
 そして、私は気付きました。
 目にも留まらぬコンビネーションを繰り出すイドさんの周囲、うっすらと見えるアレはまさしくド根性ファイヤー!!

 説明しよう!
 ド根性ファイヤーとは、古き良き少年漫画の主人公たちにのみ許された究極のオーラである。主にスポ根系の主人公達が身に纏うソレは最高温度1200K(ケルビン)にまで到達するとされており、ソレを発現した者は事実上物理法則すら超越すると言われている。今や各地の神話・伝説の中にしか存在しないそれと同種のオーラとしては、「乙女コスモ」や「のほほんスペース」が語り継がれているというが……

「よもやこのような場所でお目にかかるとはな………!」
 比留間イド―――これほどのものか!
   
 あまりの熱量に思わず後退る。
 と、その拍子に小枝を踏んづけてしまったらしく、私の足元でポキリと乾いた音がしました。
 その音で、ハッ、と我に返る。
「わ、私は今まで一体何を?」
 いかんいかん。
 どうやらイドさんの固有結界の中に取り込まれていたようです。
「あ~、イドさーん? 私そろそろ行きますねぇ~?」
「はい、お疲れ様でした」
 冷静さを取り戻した私は、イドさんに一声かけて道場を後にしました。
 季節通りの肌寒さを取り戻した空の下を、ブラブラと歩く。

……ってゆーか、あんなのマネできねぇっつーの。

 げんなりと呟いて、私は学校へと向かいました。 
                         チャンチャン。
   
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つまり

●不完全固有結界『覚悟完了(ガンパレード)』
「天国で、割腹!!」「残った右がやけに熱いぜ!」など
覚悟完了した台詞を言いたくなる固有結界。

不完全なので、周囲を完全に巻き込むことは出来ない。

虎鉄、確かに気合と根性の問題でもあるが
雪の降ったときはちゃんと防寒具を着るぞ
ケブラー繊維は保温性にも防刃にも優れているからな

寒さは敵だ

諸君、寒いのは嫌いかね?

特に寒い場所から急に暑い場所に移動したときの体が痒くなるアレ、アレが一番嫌いだ。
だから冬場は常に重武装。
愛用のロングコートの下にはセーターとYシャツ、その下には肌着のシャツ。
首元には真っ赤なマフラーを巻きつけて、手袋も当然標準装備。
靴下の二枚履きだってやっている。
それでも寒さは厳しくてやっぱり防ぎきることは早々出来ない。

諸君、寒さはやはり敵だ。
プロフィール

神無月

Author:神無月
神無月(かんなづき)と申します。

主に株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のブログとしてなんか色々とまったりペースで徒然事が書かれています。
いぇー。

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