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虎鉄の日記:先日の事


――目を覚ましたのは、自分のベッドの上でした。

「おや?」
 その違和感に首を傾げる。
 いや、何も不自然な事など無い――これが弟子であるクルス少年の部屋のベッドの上で、目覚めた自分の隣にクルス君が眠っていたりしたら手首を切るか首を括るところだが――ここは自分の部屋で、これは慣れ親しんだ自分のベッドである。一応念のため隣を確認してみるが、誰かが眠っているようなことはなかった。ベッドの下に声をかければ、ちゃんと挨拶が返ってきた。
 何もおかしなところなど無い、はずなのに………
「あ、そうか」
 ポン、と手を打つ。そういえば、昨晩ベッドに入った記憶が無い。
―――と言うか、そもそも昨日自分がなにをしていたのかがまったくこれっぽっちも思い出せない。
「おっかしぃなぁ………」
 ベッドの上に胡坐をかき、瞑目して記憶の底へと意識の枝を伸ばす。
 と、
「あがーっ!?」
―――うおおおっ! い、痛い! 頭が割れるように痛いッッ!?
 ゴロゴロとベッドの上でのた打ち回る。どういう訳か昨日の記憶を思い出そうとすると、とんでもない頭痛が襲ってくる。狗のように四つん這いになって、ゼエゼエと息を整える。
「おかしいなぁ、これじゃあまるでどうしても思い出したくない記憶でもあるみたいじゃあないですか………」
 口にしたとたん、ザリ、と脳髄をヤスリでこすられるような痛みがあった。……駄目だ、これ以上は考えてはいけない。
 昨日の夜の事はズッパリと忘れて、ベッドの上に起き上がった。
 サングラスをかけ、窓を開ける。うん、今日もいい天気だ。時間を見ようとベッドサイドの机に目をやる。午前七時を指す時計の横に、見覚えのあるノートが一冊おいてあった。
「おや?」
 またしても違和感。
 おかしい、この日記帳は確か数日前に紛失してしまい……そして、その内容が………誰かに………この日記帳……拾ったのは、ダ…………レ………………ダ………?
―――あ、痛い痛い。
 途端に襲う偏頭痛。あ、これ駄目駄目。このノート絶対ヤバいアイテムだ。死神のノート以上に触れてはいけない気がする。
「あー………折角ですし、日記でもつけておきますかねぇ」
 無理矢理に思考の方向をズラす。
 そういう訳で、しばらくつけていなかった日記をまとめてつけてみようと思う。


○月■日(晴)
 夜、いつものように談話室に顔を出すと夏優さんと光也さんにイジメられた。
 間違いなく自業自得だったとはいえ、あんな成歩堂龍一でも泣きが入りそうな魔女裁判みたいな取調べを受ける理由はねーのである。心当たりはいっぱいあるけどねーのである。
 許すまじ。

 夏優さんと光也さんが眠った後は、現在『寮つき手芸部』内で一番幸せであろうレイヤ・ストラフィールさんと白・雪がイチャついているのを眺めていた。この日の雪さんはなぜかちっさくなっていた。比喩ではなく、ぷちだった。
 とても和んだ。萌え。

○月☆日(晴)
 レイヤさんがざる蕎麦を差し入れてくれた。どうやら先日談話室で話していた事を覚えていて下さったらしい。ツユは雪さんお奨めの逸品であるらしい。
 私はその日、この二人の愛が地球の歴史より長く続く事を思いつく限りの神に祈った。
 一時間近い神への嘆願を終えて、ざる蕎麦を持ってテラスに出た。この日はいい天気だったので、秋空を眺めながら蕎麦を啜るのもオツだろうと思ったのである。
 ヤクミを盛った小皿を置き、手を合わせる。通はヤクミを入れず、ツユにもほとんどつけずに食べるのだと言うが、知ったこっちゃねぇ。俺はざる蕎麦の評論がしたいんじゃあなく、美味いざる蕎麦が食いたいのだ。詰らん御託を並べるのは食いモンの価値が判ってない阿呆のする事だ。本当に美味いモンは、黙って食えばいいのだ!
―――っと、いかん地が出た。
 まあそういう訳で。
 海苔を蕎麦の上にのせ、ツユに葱を少し加える。山葵は後からである。せっかくの雪さんお奨め、生のままで味わってみなければ勿体無い。
 箸を割り、手を合わせ、言う。
「いっただっきま~す♪」
 そして、箸が蕎麦に触れるか触れないかというところで。

………どこからともかく、猫が飛んできた。

 ビューンと飛んできた猫はバシーンと蕎麦の盛られたザルを吹き飛ばし、そのままギューンと逃げていった。
 蕎麦は、地面に落ちていた。砂まみれの、泥まみれ。
 レイヤさんの打ってくれた蕎麦が、雪さんのくれたツユが、地面に広がっていく。

………そこから先の記憶は途切れている。
 あの猫がどうなったのか、私は記憶の無い間、一体なにをしていたのか。
 心当たりがある人がいればぜひとも教えて欲しいものである。



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神無月

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神無月(かんなづき)と申します。

主に株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のブログとしてなんか色々とまったりペースで徒然事が書かれています。
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