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虎鉄語:ある日の徒然


オフレポ書かなきゃなので、文章のリハビリを兼ねた駄文投稿。




 鳳凰堂・虎鉄は人間である。
 保証はどこにもない。

 とりあえず、見た目。外見に関しては……すれ違う人が振り返るほど端正な顔立ちをしている訳でもないが、他人に声をかけて悲鳴をあげられるほど崩れてもいない……まぁ、つまりはパッとしない容貌だが、一応は人間の形をしている。
 戸籍上はといえば、きちんと日本国民としての体裁を整えている。ただし、偽造だが。
 では、内面はどうだろう。
 精神面への分析は後々として、もっと物理的な内面は。
 
――一人、自室の床に胡坐をかいたまま、腕を伸ばす。
   前を向いたままの己の視界の端に、己の腕がフェードインする。
   ごく自然な事だ。
   ただ、その腕は肌色の皮膚に覆われた、生まれた時からこの身に生えていたものではなく。
   キチキチと硬質の音を立てる、複数の間接を有した、黒光りする昆虫の『腕』。
   より正確に言えば、蜘蛛のソレに酷似したもの。
   肌を晒した自分の背中から、皮膚を「通り抜けて」顕現した、異形のカタチであった。

 これを外見の問題と考えるのは間違いだ。この異形の器官はなにも、ただそれだけで独立して機能している訳ではない。あくまで鳳凰堂・虎鉄の随意となる肉体の一部である。それはつまり、彼の内部……神経、筋肉、骨格、果ては脊髄の果てに鎮座する脳の中に、その器官を活動させるための構造が存在しているという事だからだ。
 では、蜘蛛の足を背中から生やす人間がいるか否かと問われれば、それは極めて答えに困る問いである。
 ここで蜘蛛の足を生やした人間などいるものか、と断じてしまう事は、もしかしたらどこかにお住まいの蜘蛛の足を生やした方々にとって大変な失礼に当たるかもしれない。
 ただまあ、まず普通はいないだろう。
 少なくとも、この学園の外で見かけた事はない。
 
――ふぅむ。
   としかつめらしく溜め息一つ。
   もそもそ、と肌着を着込む。もう五月とはいえ、早朝の空気には冬の名残がある。
   耐性には自信があるとはいえ、さすがに長時間脱ぎっぱなしは健康に悪そうだ。
   てか、ぶっちゃけ寒いですし。

 そうなると、さて。
 鳳凰堂・虎鉄は人間である………と、言い切ってしまっていいのだろうか。
 こういう場合、まずは人間の定義を挙げ、そこに当てはまるか否かを考えてみれば容易いのだが、生憎と人間を定義するという事自体が、これまた難解な命題なのである。
 となれば、これは困ったことになる。
 一体我々は、どこに根拠を求めて彼を人間と称すれば良いのだろう?
 もうこの際、本人に聞いてしまった方が早いのではなかろうか。
 ちょうどそう考えたタイミングで、鳳凰堂・虎鉄が肩越しに振り返り、こちらを見た。
 呆れを含んだ苦笑を浮かべた顔で。
 余談だが、この顔は「笑顔」と呼ばれる表情以外を滅多に浮かべる事がない。その癖、彼は表情豊かと言ってよいほどに多くの感情を表現する、という微妙に矛盾した特長をもっている。
 ともあれ、せっかくだ。
 我々の疑問に答えてもらうとしよう。


「んで、今度はまたな~にやってんですか?」
 肩越しに振り向くと、ベッドの下の気配さんと目が合った。
 うん、いや、いるのは知ってましたが。ってゆーかもう馴染みの相手でもありますが。
 どう見ても人の入れる幅なんてないベッドと床の隙間からにょっきり生えた顔とかを不意に見つけちゃったりすると……特にそれが夜中で、電気を落とした後だったりすると、さすがの私も、その、なんだ、ビビる。ちなみに、そんな時間に電気を落として私が何をしていたのか、ってゆーところは割愛する。
 そんな私の繊細なハートなどお構いなしに、どう目を凝らしても実像の結び難い親愛なる同居人さんは、ベッドの下からズルズルと音を立てそうな動きで(実際には何の音も聞こえないのだから困る)這い出てくる。
 まずは妙に厚みを欠いた頭が、続いて首が、肩が、といった順に狭苦しい隙間から姿を現して……
 ふとその手に、なにやら妙な物が握られていることに気がついた。

 これが刃毀れも禍々しい重厚な斧ででもあれば立派な怪談に……或いは、とあるGTではよく見かける馴染みの姿に……なったところだが、それは、およそ人を殺傷するにはあまり向いているとは思えない形状を有していた。
 ってゆーか、マイクだった。
 カラオケとかに行ったらどこの部屋にでも常備されてる、アレだった。

「いや、何故に?」

 思わずそう呟いた私の前に、ずずい、と突きつけられるマイク。
 うん、おかしいなぁ。
 肩までしか出てきてない状態じゃあ、床から私の顔まで腕が届くはずないんですけどねぇ。
 ってゆーか、明らかに腕の長さがおかしい感じに見えるんですけど。
 遠近法?
 まあ、それは置いておくとして。なんだろう。一曲歌えとでも言うのでしょーか。
 なんて訝っていると、大分下の方にある片方だけの目が、私にこう問いかけてきているように感じた。
 曰く、

『アナターハ、ニンゲン、デスカー?』

「お前が言うな」
 っつーか日本の方じゃあなかったのね、貴方。
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神無月

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神無月(かんなづき)と申します。

主に株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のブログとしてなんか色々とまったりペースで徒然事が書かれています。
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